フロレンティナ・ロスノフスキ大統領
「ジョー・バイデン大統領がアメリカ大統領選から撤退を表明し、カマラ・ハリス現副大統領が民主党の新たな大統領候補として選出される見通し」というニュースが、マスメディアを賑わせています。
今回のアメリカ大統領選は、過去に接したフィクション作品を思い起こさせる場面が続いています。
「大統領を作る男たち」に続いての「個人的な思い出話」は「ロスノフスキ家の娘(The Prodigal Daughter")」です。
初めにお断りしておきますが、本稿はこのニュースやアメリカ大統領選について論評するものではありません。
「ロスノフスキ家の娘」はイギリスのベストセラー作家ジェフリー・アーチャーが1952年に上梓した小説。日本では翌年日本語版が発行されました。
当時非常に人気があった作家の作品なので、お読みになった方も多いのではと思います。
随分前に絶版となってしまったようですが、2017年に改訂版が出されたらしく、日本でも昨年(2023年)改訂版の翻訳が出版されたようです。
「ロスノフスキ家の娘」は、同著者による「ケインとアベル」という作品の続編として書かれたものです。
「ケインとアベル」は、ポーランドの名字もない貧しい漁師に育てられたヴワデグとアメリカの裕福な銀行家の御曹司ウィリアム・ケインの物語。全く別の世界で同じ日に生まれた2人の運命がやがてからみあい、壮大な復讐劇が展開されていきます。もちろんツッコミどころはいろいろありますが、ラストのどんでん返しまで、いかにもアーチャーらしくとにかく「面白い」作品です。
その続編となる「ロスノフスキ家の娘」は、このヴワデグの娘であるフロレンティナの半生を描いたサクセスストーリー。
読んでいらっしゃらない方からの「待て待て、ロスノフスキ家というのはなんだ」というツッコミが聞こえますね。
貧しくても成績優秀だったヴワデグはその地方の領主であるロスノフスキ家の子息レオンの学友として男爵家に迎えられますが、第一次世界大戦とその後のポーランド・ソ連戦争により、男爵とレオンは亡くなってロスノフスキは断絶。自分もソ連の収容所に連行されるところでしたが、かろうじて脱出し、アメリカへの移民を乗せた船に潜り込みます。アメリカに到着したヴワデグを担当した入国管理官は、ロスノフスキー男爵からプレゼントされ、今や形見となったヴワデグの腕輪に刻まれた文字を見て言います。「アメリカへようこそ。アベル・ロスノフスキ男爵。」
アベル・ロスノフスキとなったヴワデグは、才能と努力、そして運にも恵まれ、アメリカのホテル王となっていきます。その娘がフロレンティナ・ロスノフスキです。
父の才能と野心を受け継いだフロレンティナは、才女として育ち、父の跡を継ぐものと思われていましたが、よりによってロスノフスキ家の宿敵であるケイン家の息子と恋に落ちて駆け落ち・・・と、少々ステレオタイプなストーリーテリングが続くのですが、そのあたりは本稿にとっては重要ではないので、省くとして。
フロレンティナは政界に進出して頭角を現し、大統領候補予備選に出馬するまでになります。この予備選には惜しくも敗れて大統領候補にはなれませんでしたが、副大統領候補となり、大統領選に勝利して副大統領となります。
そしてラストシーン。
高齢の大統領が突然死。かけつけたフロレンティナは、聖書を差し出されてこう言われます。「まずは宣誓をしてください。フロレンティナ・ロスノフスキ大統領」
(大統領の死因とこの最後のせりふは正確には覚えていませんが・・・つまりはこういうことです)
残念ながら「改訂版」は読んでいないのですが、2017年ということは、2016年にヒラリー・クリントンが史上初の女性大統領候補なったことを何かの形で反映させたのでしょう。
この時ヒラリー・クリントンが打ち破れなかった「ガラスの天井」。フロレンティナはそれを打ち破った・・・というのも少し違うような気がしますね。さすがはアーチャー、「その手があったか」という「裏技」でフロレンティナをガラスの天井の「上」に立たせました。
フロレンティナ・ロスノフスキはポーランドからの移民2世。そして初の女性副大統領。現職大統領の死によって大統領に。フロレンティナは「花」。
カマラ・ハリスはジャマイカとインドからの移民2世。そして初の女性副大統領。現職大横領の選挙戦撤退によって大統領候補に。カマラは「蓮の花」。
重ねて書きますが、
「ロスノフスキ家の娘」はフィクションです。実際の国・団体・事件等とは一切関係ありません。
エコロ爺さん
大統領を作る男たち
アメリカのトランプ元大統領が大統領選に向けた選挙集会の演説中に狙撃される!
「衝撃のニュース」というのはあまりにもステレオタイプで陳腐ですし、あれほど銃があふれているアメリカにおいてはいつでも起こり得ると思っていましたので、「遂に起こったか」というニュースが飛び込んできました。
事件の詳細はまだ明らかになっておらず、「トランプ元大統領は無事」「犯人はSPに射殺された」程度しかわからない時点で書いています。
トランプ元大統領はSPに囲まれて会場を出る際に、右手を突き上げて「無事」を誇示し、自らの英雄伝説をつくるための演出をしっかりと残していきました。
この人物への評価はおくとしても、これはある意味「たいしたもの」です。冷静に見れば「あざとすぎる」という評価もあるでしょうが、「信者」へのアピール度合いは極めて高いでしょう。
初めにお断りしておきますが、本稿はこの事件やアメリカ大統領選について論評するものではありません。
狙撃の瞬間を捉えたニュース映像を見ていて、もう30年以上前に放送されたドラマが非常に印象的だったことを思い出した、という極めて個人的な思い出話です。
そのドラマは、日本では1990年代初頭に放送されたアメリカCBS制作のサスペンスドラマで、放送当時の正確なタイトルは思い出せませんが、「大統領を作る男たち (原題 The Favorite Son)」だったと思います。
3回のミニシリーズで全編で4時間を超える大作でした。
演説中の若手政治家が狙撃されるところからドラマは動き出します。
腹部に銃弾を受けながらそれでも演説を続けたこの若手政治家は、一気に「英雄」「マスメディアの寵児」になっていき、これが間近に控えた大統領選を大きく動かしていきます。
政権側はこの人気政治家を担ぎ出せば必勝間違いなし、と彼を副大統領候補に指名します。
そうした政治の動きの背景で、謎の連続殺人事件が起こります。この捜査を担当するのか主人公の一人である、定年間近のFBI捜査官ニック・マンクーゾ。マンクーゾ捜査官がこの連続殺人事件の謎に挑む、というのがストーリーの縦軸となっていきます。
次々と殺されていく登場人物。この事件の描写もなかなか激しいのですが、事件を追うマンクーゾ捜査官もかなり法を無視した手法も使って謎に迫っていきます。同僚のFBI捜査官が殺された際には「エグイ」かつ「スカッと」復習したりしますが、とにかく真相を知るためには「♪ちっちゃなことは気にしない♪」的に突き進む感じだったと記憶しています。
(このマンクーゾ捜査官をロバート・ロッジアが「渋く」かつ「かっこよく」好演していました)
そしてその度に政治の裏にある辟易するような政治策謀が明らかになっていく一方で、政治の舞台では、副大統領候補になった若手政治家が副大統領に満足せず、「大統領候補にせよ」と要求し始めます。
ところがマンクーゾ捜査官の執念の捜査が、遂に「英雄」が作られた真相を解き明かします。
「英雄」が狙撃された銃弾は殺傷力を最小限に抑えた「死なない銃弾」であったこと、それは「英雄」の側近が知名度を上げるために仕組んだ自作自演の狂言であったこと、そしてそれを隠蔽するために多数の人が殺されたことを。
さすがに記憶が鮮明でない部分も多く、つたない文章では面白さが伝わっていないと思いますが、この作品のインパクトがいかに大きかったかは、その後マンクーゾ捜査官がスピン・アウトして「FBI捜査官マンクーゾ」という連続ドラマが放送されたことでもわかるかと思います。
マスメディアが作り、そして葬る「英雄」。手段を選ばない政治謀略。そして最後の大逆転によってあばかれる絶望的な政治の腐敗。
ストーリー展開もテンポ良く、見始めたらやめられない、という印象がありました。
最後のオチを知っていても十分見応えがあるのではと思います。どこかの配信サイトで見ることができるかもしれません。
一番記憶に残っているシーンはラストシーンです。
高齢の現大統領サム・ベイカーが真相を明らかにした捜査を労うためマンクーゾ捜査官に直接電話をします。
ベイカー大統領は
「なぜそこまで頑張ってくれたのか?」
と聞きます。
マンクーゾ捜査官はこう答えました。
「この国にもう一度だけチャンスをやってもいいかと思って」
ベイカー大統領は半分独り言のように言います。
「危機の時には必ず憂国の志士が現れる。幸せな国だな。」
重ねて書きますが、
「大統領を作る男たち」はフィクションです。実際の国・団体・事件とは一切関係ありません。
エコロ爺さん
国交省推奨「遠隔臨場」の先に見えたもの
前の投稿「 パンデミックとリモートワーク」の続きです。
「リモートワーク」という概念とは相容れない「建設現場」が事業に不可欠である建設業界で、ある種のリモートワークが注目されています。
それは「遠隔臨場」と呼ばれるものです。
遠隔:離れていること
臨場:その場に臨むこと
・・・概念が"とっ散らかって"いるような言葉ですが、これがICTによって矛盾なく収まってしまうのです。
国土交通省が推進している「iConstruction」(ICT、IoTを活用した建設業務のデジタル化・効率化)の流れの中で提唱されている「遠隔臨場」は、魔法でも使わなければ二律背反となる「遠隔地にいながら臨場する」ことを、ICTによって実現し、建設業務の効率化を図ろうというものです。
「遠隔臨場」とは
「遠隔臨場」とは、一言で言えば、ネットワークカメラ(ウェブカメラ)のライブ映像によって、遠隔地から現場の作業工程のが発注通り完了しているか、正しい資材・材料が使われているか、などの確認を行うことです。
国土交通省では公共工事、特に遠隔地の工事においては「材料確認」「段階確認」「立会」を「遠隔臨場」で行うことを推奨しています。
従来は職長・管理者といった人が現場に出向いて確認するところを、一定の条件(映像のスペックなど)を満たせば、現地からのネットワークカメラによるライブ映像を見ながら、会社等で検査・確認することができるということです。
これが可能になった技術的背景にはは、言うまでもなくカメラの性能アップとネットワークの充実があります。
現地での黙示に匹敵する高解像度の映像をライブで送信できるようになったことが大きな要素です。
カメラはウェアラブルカメラだったり、スマホ・タブレットのカメラだったり、用途によっては定点カメラだったりすることもあります。
さらに管理者と現場との会話のためにリモート会議ウェア(Microsoft Teams等)が使われることが多いようです。
国土交通省では2020年から「遠隔臨場」導入の試行を初めており、取り組み事例も公開されています。
「遠隔臨場」のメリットと注目される理由
「遠隔臨場」のメリットとしては
(1) 移動コストの削減
リアルに臨場しなければならなかった管理者の移動コストは確実に削減されます。
(2) トラブルや問題の防止と安全性の向上
臨場が効率的になる分、臨場の機会をふやすことができれば、トラブルや計画との乖離などを見つける機会も増えます。
定点カメラを設置した場合には、遠隔地でも常に現場の状況を確認でき、現場の安全性の確保にも役立ちます。
(3) 労務生産性の向上と人手不足への対応
移動時間がなくなることにより、管理者等が複数の現座を担当することもより容易になり、また別な業務に従事することもできるようになるため、生産性もアップします。
業界で予測されている人手不足・人材不足への対応にもつながります。
「遠隔臨場」と建設工事現場の入退場管理システム
公共事業にかぎらず、民間の建設・建築事業でも「遠隔臨場」を取り入れる動きも出ています。
最近、ある住宅建築会社の方をお話をする機会がありました。この方の発想が大変アップデートされたものだったので、詳細はご紹介できませんが、その概要をご紹介したいと思います。
この方は国交相の提唱をさらに発展させた形での「遠隔臨場」を発想されていました。
この会社様の事業は以下のような特徴があります。
(A) 遠隔地の現場が多い
(B) 現場事務所などはない現場が多い
(C) 各現場に常駐しているのは協力会社の作業員で自社のスタッフはいない現場が多い
よって検査・確認の際の移動の手間とコストが高く、管理者・職長らの生産性が上がらない、またトラブルや急な変更などに即時に対応できないという「お困りごと」を抱えています。
この方は、これらの現場に検査・確認の機会のみでなく、"管理者・職長が常に臨場している"状況を作れないか、とお考えでした。
遠隔臨場のメリット(2)(3)をさらに押し進めることを目指されていたわけです。
このため、まず各現場に定点カメラを設置し、現場全体の映像をライブで会社に送る環境を整えるとともに、検査・立合の際には国交相が試行しているような遠隔臨場が可能なシステム環境と機材を整える構想をたてました。
ですが、そこで「これでは"常に臨場している状況"にはならない」と気付かれました。
「ピースがひとつ足りない」と。
問題は
「現場にいるのは協力会社の作業員のみ。誰がその現場に実際にいるのかわからないため、臨機応変に必要な指示ができない。」
ということでした。
その最後のピースとして思い至ったのが「入退場管理システム」です。
協力会社の作業員の現場への入場・退場と連絡先(携帯電話)をリアルタイムで管理できれば、常に現場との連絡、現場への指示ができる状態になるだろう、ということです。
世には入退場管理と銘打ったツール・システムがいくつもありますが、導入するにはいくつかの条件とハードルがあるとのことでした。
① カードリーダーや顔認証機器を現場に設置することはできない
② アプリにしても単なる勤怠管理のようなものは付加。出面を管理するというより、確かにその現場にいるという一定の保証が必要
③ アプリを導入しようとしても、百単位の協力会社作業員等全員に行き渡らせ、使ってもらわなければならないが、新しいアプリへの拒否感やITCに関するリテラシーの問題で実際に使ってもらうには高いハードルがある
ご相談は私たちの「リモート・リポートはこの3つをクリアできるか」ということでした。
「自慢かよ?!」「我田引水」のご批判は甘んじて受けるとして・・・単純に心の中で快哉を叫びました。リモート・リポートの真価を理解していただけそうな方がいた、と。
手前味噌ですが、「リモート・リポート入退場管理」は3つをクリアできまる唯一無二のソリューションです」とお答えしました。
① 現場で必要なものはスマホだけです。
② 操作した時の位置情報から現場にいる、という保証ができます。
③ 新しいアプリは不要です。国民の85%が日常的に使っているLINE(またはLINE WORKSでも可)でできます。ログインも不要。さらに、ついつも操作しているLINEなのでリテラシーの心配もありません。
ご興味があれば、私たちのリポート・リポート入退場管理""」のページをご覧ください。
私たちは当初、いわゆる出面管理や労務管理の側面から、建設建築業者様の業務効率化をお手伝いするものとして「リモート・リポート入退場管理」を発想していましたが、このような形で「遠隔臨場」実現のお手伝いができる、という発想には至っておらず、おおいに学ばせていただきました。
「リモート・リポート」は工事現場の入退場管理以外にも、様々な応用が可能なソリューションです。
私たちには発想しきれない使い方もまだ数多くありそうです。
是非様々な方とお話しをさせていただき、皆さんに教えていただきながら、さらにお役に立つシステムへと成長させていかなければならないと考えております。
代表 松下正寿
パンデミックとリモートワーク
株式会社インタースは新型コロナウィルスによるパンデミックを機会にリモートワークを導入しました。
揃って出社していた頃と全く同じとまでは言えませんが、開発作業は、チーム開発も含めて問題なく回っています。
(小規模なため既に全員「お互いの気心が知れている」ことも、うまくいっている背景になっているとは思いますが・・・)
もともとフレックスタイム制を実施していたのに加え、Microsoft Teamsなどのグループ・リモート会議ウェアやGitHubなどのプロジェクト管理ウェアなどの導入を進めてきていましたので、可能だとは思っていましたが、拍子抜けする程スムーズに移行することができました。
で、気がつけば、いわゆる「コロナ明け」後もそのまま継続しています
お笑いコンビ「アイデンティティ」は、声優野沢雅子さんのものまね(といってもほとんどがドラゴンボールの孫悟空キャラの真似ですが)でブレイクしましたが、そのネタでしかテレビ出演ができず、当人の田島直哉氏が「遊びで始めたら戻れなくなっちまったぞ〜」と嘆くのも持ちネタにしてしまっていた時期がありました。
弊社はもちろん「遊び」で始めたのではありませんが、「元に戻れなくなっている」点では同じです。
リモートワークの利点とは?
何故元にもどさないのか?当然利点があるからです。
リモートワークの利点に関しては数多くの文献やウェブサイトで述べられていますので、ここで詳述する必要もないでしょうが、主に次のようなことがあげられていいます。
(1) 柔軟な働き方を提供できる
能力・スキルがありながらその人の事情で決まった時間の勤務が難しい人材でも登用することができる
(2) 地理的な制約なく人材を登用できる
これは詳述するまでもなく、東京に事務所があっても北海道・沖縄在住の人も社員としての登用が可能
(3) 時間の節約
最もわかりやすいのは通勤時間でしょう。会社にとって直接有益かどうかは別として、少なくとも当人にとってはほとんどの場合利点と言えるでしょう。
それは「労働環境の改善」という意味で会社に有益なものとなります。
(4) 生産性の向上
オフィスでの雑用・雑音に邪魔されず仕事に集中できることが期待されます。
(かわりに家の雑用・雑音に邪魔されるというケースもなきしもあらずですが)
(5) コスト削減
オフィス設備や光熱費等の削減が期待できます。
私たちは「働き方改革」と大上段に振りかぶるつもりはなく、純粋に(3)(4)(5)の故にリモートワークを継続しています。
特にオフィスの規模を縮小できたことは大きなのコスト削減につながりました。
メリットばかりではないですが・・・
もちろんリモートワークにはデメリットもあります。
これも書籍やウェブサイトなどでいろいろ指摘されていると思いますが、私たちが感じるのは
「どんなにリモート会議ウェアなどを使っても「face to face」で行うコミュニケーションを凌駕することはできない」
ということです。
ですが、私たちの場合は(3)(4)(5)のメリットを帳消しにするようなデメリットにはなっていないと思っています。
導入にはハードルも
全社的でなくても一部でリモートワークを導入されるケースも増えているようです。
私たちのリモートワークについてお客様にお話をしたところ、
「何が必要なのか」
「どんな運用をすればいいのか(どんなルールを作ればいいのか)」
などのご質問を受け、アドバイスをさせていただいたこともあります。
(ご興味がおありでしたらご相談をお受けすることもできます。株式会社インタースのウェブサイトの「お問合せ」などからお問合せください。)
ですが、多くの場合は「御社のような業態はできるでしょうけどね・・・」という反応が返ってくる、というのは皆さんも容易に想像していただけるかと思います。
私たちのような業種が扱うのはは基本的にデジタルデータで、ほぼすべてがコンピュータとサーバーの中にあるので、それらにアクセスできる状況を整備すれば、こうしたリモート対応が比較的容易に実現可能です。
が、小売、飲食、製造、建設・建築等の業界では、「店舗」「工場」「現場」が不可欠である限り、「リモートワークという概念自体が業態と矛盾している」と言っても良いくらいかもしれません。
私たちのお客様の中にアパレル製造販売の企業がいらっしゃいます。
私たちが20年以上にわたり、業務システムや経営データの分析システムをご提供するとともに、様々な課題解決のお手伝いをさせていただいてきており、この間、店舗数ベースで10倍、売上ベースで6倍となり、アパレル不況が叫ばれる中で着実に成長してきました。
このお客様は全国の百貨店に多数の店舗を出店されています。
新型コロナウィルスが猛威をふるい始めた初期の頃、多くの百貨店が営業停止の判断を余儀なくされたことを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
「大家」である百貨店が閉まってしまえば、いわば「店子」である店舗になす術はないのですが、この会社は直営店も数多く構えていますし、ECも販売チャンネルとしてお持ちですので、百貨店で「眠っているしかない」在庫をそれらに再配置することを考えられました。
ところが通常の休業ではなく、パンデミックによる閉鎖なので百貨店に入ることすらできず、対応に大変苦慮されていました。
この課題についてはさすがにICTではお手伝いのしようもなく、もどかしい思いをするばかりでした。
リモートワークとは直接関係はありませんが、リアルな店舗や現場を持つことにまつわる難しさの一端を学ばせていただいた次第です。
閑話休題。
建設業界のリモートワーク
同様に建設現場という「現場」を持つ建設業で、ある種のリモートワークが注目されています。
それは「遠隔臨場」と呼ばれるものです。
遠隔:離れていること
臨場:その場に臨むこと
矛盾してます。
国土交通省が推進している「iConstruction」(ICT、IoTを活用した建設業務のデジタル化・効率化)の流れの中で提唱されている「遠隔臨場」は、魔法でも使わなければ二律背反となる「遠隔地にいながら臨場する」ことを、ICTによって実現し、建設業務の効率化を図ろうというものです。
・・・
ちょっと長くなりました。「遠隔臨場」については次の投稿でご紹介します。
代表 松下正寿
ノーコードの功罪
文系管理職の絶妙な笑顔
「文系管理職なのに〜♪ 画期的な業務アプリを♫ チャチャっと作れちゃう♩ オレ」
製品よりも豊川悦司さんの絶妙な表情の方が印象に残りそうなCMです。
このCMに象徴されるように、情報システム開発の世界では、ノーコード・ローコードのシステム開発プラットフォームがその活躍の場を増やしているようです。
私たちも冒頭のプラットフォームではありませんが、一部のノーコード・ローコードツールを、私たちが開発するシステムの一部として使っています。
ノーコード・ローコードプラットフォームのメリット・デメリットは、様々なサイトに書かれており、一般的には以下のようなことが挙げられています。
【メリット】
(1) システム開発を内製化できる/非IT部門を開発戦力化できる
システム開発の専門的なスキルがなくても開発が「可能」なので、外注していたものを自社開発したり、システム開発部門でなくても開発が「可能」になる
(2) 開発時間を短縮できる
コードを書く必要がないので、その分短時間で開発が可能になる傾向がある。
(3) 比較的低コスト
外注するのに比べれば、技術料が無いことや開発時間の短縮によるコスト削減が「可能」。
(4) エラーやバグが起こりにくい
プラットフォームが装備している完成した機能のみを使うためエラーやバグが起こりにくく、安定したシステム構築が期待できる。
【デメリット】
(1) プラットフォームに全面依存している
ホスティング環境・サーバー・データベースからプログラムまですべてをプラットフォームに依存するので、「プラットフォーム側に何かあった」際には打つ手がない。
(2) 思うような改善ができない(場合がある)
プラットフォーム側で用意している機能しか使えないので自由度が低く、思うような改善ができない場合がある。
(3) 大規模開発や複雑な開発には不向き
同様に大規模な開発や複雑な要件を持つ開発はできない場合が多い
このようなデメリットがあるとはいえ、比較的シンプルな管理システムなどではメリットがそれを補って余りあると言えそうです。
IT人材不足が懸念される今、日本企業のDXに向けて大いに活用が期待されるものであることは間違いないと思います、などと少々上から目線で書くのはおこがましいですね。
とにかく「すごい」です。皆さん、よくここまでプラットフォーム化された、と思います。
この稿はメリット・デメリットを詳細に述べることが目的ではありません。
ノーコード・ローコードプラットフォームをめぐって、私たちが経験したことをご紹介したいと思います。
システムは液体ではない
お客様のニーズにジャストフィットするカスタムメイドのシステムのご提供を主事業のひとつとしている弊社は、デメリットの(2)(3)が障害となって、全面的にノーコードに依存することは難しいのですが、使う場面もあります。
今ほどノーコード・ローコードのプラットフォームが充実していない時期のことではありますが、お客様のご要望にお応えしようとすると、どうしてもすんなりとはプラットフォームで実現できない部分がでてきました。
通常の開発ならシステムに合わせた器を作ることができますが、ノーコードでは器の形状が決まっている、というイメージでしょうか。
ところがシステムは液体や気体ではないのです。
システムの設計に加えて、各パーツやロジック、データをどうプラットフォームに「入れる」かという問題が出てきた、というわけです。
形がきまっている器に液体でないシステムを当てはめるための設計とプログラムの作成をしなければならなくなって・・・
結局、システム構築にかかった時間と手間は通常の開発以上だった、という苦い経験があります。
システム開発は「設計」にあり
システム開発の「キモ」はどこにあるのでしょうか?
「プログラミングできる人たちがそれを専門技術としてやっているのだから、プログラミングじゃないの?」
私たちは違うと考えています。それは「設計」にあるのです。
ノーコードプラットフォームを使って自社で顧客管理のシステムを作ろうしていた企業から、「開発の状況を見てやってくれないか」と相談を受け、開発についてアドバイスをしに行ったことがあります。
行ってみて、ひっくり返りました。
顧客データに「顧客ID(顧客ごと付すユニークな番号またはコード)」がない?!
確かに何万というような量のデータを扱うシステムではありませんが・・・
「IDがなくて、どうやって顧客を特定するのですか?」と尋ねたところ
「社名があるからわかるじゃないですか」とのお答え。
「社名が同じだったら?」
「今同じ社名の会社はないし、住所見ればわかるし」
・・・エクセルでやっている分にはそれでもいいでしょうけれど・・・
「今後もし同じ社名の会社が複数になった場合、システムにそれをやらせるためには、社名と住所両方を参照させなければなりませんよ」
「・・・???」
まあこれは極端な例ですが。
メリットのところで「可能」とあえて「」つきにしたのは「理論的には可能」という意味です。
情報システムがどう動くのかについて一定の理解と知見がなければ開発はできないのだな〜、と。
極端な言い方をすれば、ノーコードツールがやってくれるのはプログラミングであって設計ではない、ということでしょうか。
また数年前、ある企業が社内業務の開発を打診してくださいました。
比較的シンプルなシステム要件でしたが、ちょっと予算感があいませんでした。システム部門を持っているような企業ではありませんでしたので、私たちは「♩よせばいいのに〜♫」、あるノーコードプラットフォームを紹介し、「これなら内製でできるかもしれませんよ」と余計な(「余計な」の理由はあとでわかります)アドバイスをしました。
すぐにそのように方針が決まり、ある「目端が効く」営業担当の方がノーコードツールでの開発を担当されることになりました。
もちろんシステム開発のご経験はありませんでした。
3ヶ月後くらいにご様子をうかがいに行きましたが、「まだできていない」とのこと。
周囲の人も含めて話をきいてみると、この方システム開発に時間をとられて本業の営業の方も奮わなくなっているとのこと。
しかもシステムもできあがらない、ということで、上司や経営陣からの目が厳しくなっているらしい、とのこと。
8ヶ月後、この方から連絡がありました。
「退社することになりました」と。
何故退社されるのか、詳しい事情は聞けませんでしたが・・・
営業としては優秀な方だったのに、会社は人材を1人失うことになりました。
内製化してもコストがかからないわけではないのです。
結構大きなコストがかかっているかもしれないのです。「担当者の時間」というコストが。
極端な例をご紹介しましたが、多くの企業がノーコードプラットフォームを使ってDXの第一歩を踏み出しているのも確かです。
豊川部長も本来業務の部長の仕事がおろそかになっていないことを願うばかりです。
代表 松下正寿
羽生結弦と同じ「におい」がする少女 - 世界卓球2024団体決勝@20240224
(タイトルを含め、以下選手名の敬称略をご容赦ください。また以下、筆者の勝手な想像です)
「万里の長城には登った。塀上の戦いで敗れ、長城を超えることはできなかった。」
世界の卓球界がザワついたであろう2024年2月24日。
世界卓球2024団体の女子決勝、日本の女子団体チームは中国に2ー3で敗れて準優勝でした。王者中国にあと一歩及ばず、悲願の中国越えはなりませんでしたが、素晴らしい激闘で日本中を沸かせました。筆者もその生中継に見入っていたひとりです。
日本の女子団体チームは、ついこの間までその背中はまだまだ遠いと思われた中国との距離を一気に詰め、遂にその後襟をつかんだと言ってもよさそうです。
優勝したにもかかわらず、試合後の記者会見で敗戦後かと思われるほど笑顔が見られなかった中国チームに対して、日本チームは「中国を射程にとらえた」という充実感をにじませていたと思います。ただ1人を除いては。
それは張本美和という15歳の少女でした。第5試合で敗れた後に彼女が見せた涙こそが、この大会のハイライトだと感じたのは、私だけではないのではないでしょうか。
日本卓球協会の逆算戦略?
シングルス5戦で先に3勝した方が勝利の団体戦。決勝の両チームのオーダーは次のようなものでした。
第1試合 張本美和 ー 孫穎莎 (世界ランキング1位)
第2試合 早田ひな ー 陳夢 (世界ランキング3位)
第3試合 平野美宇 ー 王藝迪 (世界ランキング2位)
第4試合 早田ひな ー 孫穎莎 (世界ランキング1位)
第5試合 張本美和 ー 陳夢 (世界ランキング3位)
これを見た時に考えたことは「これは日本卓球協会の逆算戦略か?」でした。
極論すれば、日本卓球協会はこの大会で中国に勝つことを第一目標とはしていない。
「パリオリンピックで中国を倒す」というゴールを定め、そこからの逆算でこの大会でやるべきことを判断している、と感じました。
「大谷翔平か」とツッコミたくなりますが。
勝ちにいくなら平野美宇を2試合に使うべきでしょう。しかし、そうはしなかった。
張本美和に2試合のチャンスを与えた。しかも第5試合を含む。
これには「経験を積ませる」という表現ではおさまらないものを感じました。
(そういえば伊藤美誠にもそのようなことがあったような)
日本卓球協会は、パリオリンピック代表の3人目に東京五輪ゴールドメダリストの伊藤美誠ではなく、15歳の張本美和を選びました。
日本卓球協会のオリンピック本番に向けての最大のミッションは「それまでに張本美和をいかに化けさせるか」ということです。
何と、世界選手権という場をそのミッション完遂のための「プロセス」と位置付けたのか、と驚いた次第です。
もちろんそんなに単純なものではないでしょうが、私は英断だと思いました。
おそらくですが、このオーダーなら第5試合までいく可能性が十分にある、と判断したのでしょう。
「前提」は「孫穎莎には誰も勝てない」「早田と平野は陳夢と王藝迪には勝てる」「張本美和はわからない」
張本美和を第2試合、第4試合にあてるオーダーもあり得たわけですが、その場合、前提からすれば、第1試合をエースで落とし、「わからない」張本美和が敗れれば0ー2。これは望ましくない。
今大会のミッションのためには、このオーダーしかなかったのです。
その結果
第1試合 張本美和× 0 ー 3 ◯孫穎莎 (世界ランキング1位)
第2試合 早田ひな◯ 3 ー 1 ×陳夢 (世界ランキング3位)
第3試合 平野美宇◯ 3 ー 0 ×王藝迪 (世界ランキング2位)
第4試合 早田ひな× 0 ー 3 ◯孫穎莎 (世界ランキング1位)
第5試合 張本美和 ー 陳夢 (世界ランキング3位)
その思惑通り(?)2ー2から最後の第5試合にすべてが委ねられ、15歳の少女がその大役を担いました。
このとてつもないであろうプレッシャーも経験させる。15歳の少女には酷な話だったと私も思います。が・・・
羽生結弦と同じ「におい」がする少女の試練と美勇姿
15歳の少女はこの試練にきっちりと向き合いました。
その日早田ひなに敗れたとはいえ、ここ4年間日本選手に敗れたことがなかった陳夢から第1ゲームを先取。
1ゲームとったこともすごいのですが、それより「ラリーに持ち込めば勝てる」ことが明らかになった、ということがすごい。もはや究極とも思われた中国トップ選手のラリー力を明らかに上回っていました。(陳夢は早田に敗れて多少動揺していた、という点は差し引く必要がありますが)
第2ゲーム〜第4ゲームを失って敗れましたが、その差は「経験」と「引き出しの数」といえるでしょう。第2ゲーム以降、陳夢は「ラリーはさせない」という戦術を駆使していたように、私には見えました。
そして敗れた後に日本チームでただ1人見せた「悔し涙」です。
張本美和は、インタビューを見ていても、「本当に15歳か?」と思わせる顔を頻繁に見せます。
それがどうも記憶にひっかかるものがあり、記憶をたどってみたのですが、これらしい、というものがありました。
それは、シニアの国際大会にデビューした15歳の時の羽生結弦でした。
競技も違えば、性別も違い、キャラクターも違いますが、当時の羽生結弦はインタビューなどの受け答えに「年齢詐称してないか?」と思わせるものがあったと記憶しています。
それは単に「大人びている」とか「淀みなく答えている」というのではなく、その時の自分を理解し、何をすべきかを理解してするべき努力をし、つくべき実力を身につけ、そしてその実力をまた理解している、というような印象を持ったものです。(もちろん私の勝手な印象です)
どうやら私は張本美和に、羽生結弦と同じ「におい」を感じているようです。
羽生結弦はシニアデビューの翌シーズンには世界選手権で3位、さらにその2シーズン後にオリンピックのゴールドメダリストになりました。
協会の思惑通り「ものすごい」を経験をした張本美和が、パリオリンピックまでにどこまで化けるのか?
このアナロジーには大きな「時差」があるかもしれない、と期待しています。
代表 松下正寿
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代表 松下正寿